~これから実習に行く学生の方へ~
児童養護施設 松籟荘指導員 伊藤由佳
(愛知県児童福祉施設長会 広報誌第20号「絆」より抜粋)
1. 初めに
私も、学生時代に社会福祉実習で、一ヶ月間、母子生活支援施設で実習をしました。
そこでの実習は得るものが多く、今の私の仕事においての支えになっている体験もたくさんありました。
みなさんも実習ではテキストからだけではわからない実際の施設の生活を体験すると思います。
だからこそ、不安や緊張もたくさん感じながら行くことになると思います。
これから実習に行く方に私が実習で感じたことと職員になった現在感じることからいくつか述べたいと思います。
2. 実習中について
1) 職員に質問する機会がつかめない
私は、実習中になかなか職員に質問することができませんでした。
その理由を「職員が忙しそうで質問できない」と思っていました。
しかし、私のほうから、質問などをすると十分に時間を取ってくださいました。
つまり、時間をとってもらえるのを待つのではなく、自分から声をかけなければいけないのです。
実習を自分の体験だけで終わらせてしまうのか、それ以上のものを得るのかはどれだけの質問をするかだと思います。
質問をして嫌な顔をする職員はいないはずです。
実際、私自身、職員として実習生と関わる機会をもつようになり、実習生さんに質問をされて忙しいからと断ることはありません。
答えることができないものもありますが、「こんな質問をしたら怒られるのでは・・・」とは思わずにどんどん質問していってください。
2) 実習での目標や目的をしっかり持つこと
実習目標や目的をしっかり持つことはとても重要です。
実習全体を通しての行動目標と毎日の行動目標を絶えず持たなければ、実習期間はなんとなく過ぎていってしまうのだと思います。
毎日の目標は、実習日誌を毎日記入するため、おおよそ毎日立てながら実習できると思います。
しかし、実習全体の目標は、毎日子供たちとの関わりや業務に追われ、精神的に余裕のなくなることや、だんだん最初に持っていた自分の目標を忘れがちになってくることがあります。もちろん出来ないこともあります。
しかし、いろいろなことに挑戦し、やりたいこと、見学したいことはどんどんやりたい、と職員に声を掛けてください。
実習で学ぼうとしていた目標がぶれてしまわないようにしっかりと目標を立ててください。
3) 事前に勉強しておくこと
私が事前学習としてここに挙げたいのは、施設の成り立ち、根拠法、施設の目的の概要などではなく、児童の施設なので、子供たちとできる遊び、レクリエーションなどです。
子どもたちからは「抱っこして」ととても言われます。
しかし、抱っこだけになってしまわない関わり方を持って欲しいと思います。
また、多くの子どもたちと関わるためにも、抱っこではなく、遊びや会話のレパートリーを多く持って実習に臨んで欲しいと思います。
また、実習に行くまでに、事前学習を十分にしておくことで、実際の体験を文献と比較することができ、より理解が深まると思います。
事前に実習先や他の養護施設や他の分野の施設にボランティアに行っておくと、実習前に施設のイメージを持ちやすく、施設利用者への関わりを実習中に比較できると思います。
3. 最後に
実習は不安や緊張の連続で、めまぐるしく日々が過ぎています。
しかし、不安と緊張の中だからこそ、得るものがたくさんあると思います。
実習中に学んだことは、働き始めてからも自分の支えになることが多いです。
私自身、実習中に実習先の職員に言われた言葉はとても鮮明に覚えており、今でも自分の関わり方に影響しています。
実習やボランティアだけでなく、学生生活でのいろいろな体験から自分の支えになるものを見つけていってください。